「耐圧試験で圧が持たないと言われた」「送水口の位置や高さが基準に合わないかも」「引渡し日が迫っているのに、どの届出から手を付ける?」
大阪・兵庫のテナント入替や内装改修で、連結送水管(れんけつそうすいかん)の“改修・更新”はよくあるテーマです。
連結送水管は、消防ポンプ車から建物内へ水を送り込む“命の幹線”。
送水口・立管・放水口・格納箱などで構成され、火災時は消防隊が屋外の送水口から加圧し、各階の放水口で即座に放水します。
設置基準や口径・高さ・表示、放水口までの到達条件は省令・告示に細かく定められています。
さらに設置後10年で耐圧性能点検が初回必須、以後3年ごとに繰り返し。ここで漏水・腐食・逆止弁不良・ねじ/差込金具の損傷などが見つかれば、“改修(交換・補修・移設)”が実務ラインです。
本コラムでは、大阪・兵庫の実務に合わせて、改修が必要になるサインから代表的な改修ケースや法令・試験の要点さらに工事の手順などを、現場で迷わない順に整理しました。
まずはご自身の物件に当てはめてご覧ください。
連結送水管の改修が“必要になるサイン”
「まだ使える」が一番危険。
改修の要否は、設置基準の不適合と耐圧・連動の不具合の2軸で判断します。
定期点検・耐圧試験・レイアウト変更のタイミングで、次のサインが出ていないか確認しましょう。
- 耐圧性能点検(10年→3年ごと)でNG
 - 送水口〜立管〜放水口のいずれかで漏水・圧力保持不可。配管耐圧は設置10年経過後に初回、その後3年ごとが公式要領です(共用部分を除く)。
 
- 送水口〜立管〜放水口のいずれかで漏水・圧力保持不可。配管耐圧は設置10年経過後に初回、その後3年ごとが公式要領です(共用部分を除く)。
- 基準不適合(位置・口径・表示)
 - 送水口の高さ0.5〜1.0m、呼称65の結合金具(差込式またはねじ式)、標識の明瞭表示など、省令の細目に適合していない。
 
- 送水口の高さ0.5〜1.0m、呼称65の結合金具(差込式またはねじ式)、標識の明瞭表示など、省令の細目に適合していない。
- 運用上の支障
 - 送水口前の接近・作業空間不足(前面2m確保などの指針)、格納箱の開閉不良、腐食やキャップ欠損。
 
- 送水口前の接近・作業空間不足(前面2m確保などの指針)、格納箱の開閉不良、腐食やキャップ欠損。
- レイアウト変更・用途変更
 - 放水カバー範囲や階内到達条件(例:各部位から放水口までの水平距離上限、地域や施設条件での取り扱い)に影響。所轄と早期に協議を。
 
- 放水カバー範囲や階内到達条件(例:各部位から放水口までの水平距離上限、地域や施設条件での取り扱い)に影響。所轄と早期に協議を。
要するに、「耐圧×位置・表示×実戦運用」のいずれかに瑕疵があれば、部分改修〜更新を前提に工程を組むのが安全です。
まず押さえる法令のキモ「設置・点検・試験の“数字”」
改修の方針は条文と点検要領の理解からです。
設計・運用に直結するよく出る数字だけ、コンパクトに整理します。
- 送水口・放水口の“定位置”と金具
 - 高さ:送水口0.5〜1.0m(地盤面から)/放水口0.5〜1.0m(床面から)。結合金具は呼称65(差込式またはねじ式)。標識は見やすい箇所に。
 
- 高さ:送水口0.5〜1.0m(地盤面から)/放水口0.5〜1.0m(床面から)。結合金具は呼称65(差込式またはねじ式)。標識は見やすい箇所に。
- 高層階の放水口
 - 11階以上に設ける放水口は双口型などの細目あり(規則第31条第1項第6号)。
 
- 11階以上に設ける放水口は双口型などの細目あり(規則第31条第1項第6号)。
- 送水圧の考え方
 - 設計送水圧力は1.6MPa以下がガイド(計算条件の上限)。耐圧試験では設計送水圧力の1.5倍で60分保持などの検査要領が示されています(ブースターポンプ無し想定)。
 
- 設計送水圧力は1.6MPa以下がガイド(計算条件の上限)。耐圧試験では設計送水圧力の1.5倍で60分保持などの検査要領が示されています(ブースターポンプ無し想定)。
- 耐圧性能点検
 - 配管:設置10年経過で初回→3年ごと/ホース:製造10年経過で初回→3年ごと(一部除外あり)。公式点検要領・告示に明記。
 
- 配管:設置10年経過で初回→3年ごと/ホース:製造10年経過で初回→3年ごと(一部除外あり)。公式点検要領・告示に明記。
ポイントとしては、設置基準は消防法施行規則 第31条、点検・試験は消防庁の点検基準・要領を参照します。
現場では東京消防庁の検査要領資料も具体で読みやすく、試験条件の理解に役立ちます。
代表的な“改修”シナリオ(ケーススタディ)
大阪・兵庫で実際に多い4タイプを、課題→改修メニュー→段取り→成果の流れで要約しました。
実務のイメージを掴みましょう。
事例①|耐圧試験NG:配管のピンホール・継手腐食
課題:10年目の耐圧で圧保持できず。機械室立ち上がり直下の継手腐食が主因。
改修:該当区間の部分更新(配管交換)+継手一式/送水口直近の逆止弁点検・更新。再試験で圧保持を確認。
根拠:配管耐圧は設置10年→3年ごと(屋内消火栓と共用部は除外)。
事例②|送水口の“位置・金具・標識”是正
課題:外構改修で送水口が植栽・サインで塞がれ、高さも1.2m超。金具の摩耗も顕著。
改修:送水口移設(地盤面0.5〜1.0m)、呼称65金具の新調、標識・前面空間2mの確保、箱・防護フード更新。
事例③|高層フロアの“圧”が足りない
課題:上層階での放水圧が規定未満。背圧(高揚程)に対して配管径・ルートのロスが大きい。
改修:系統の摩擦損失再計算→必要に応じ配管径アップ/ブースターポンプ増設→検査時は設計圧1.5倍×60分で確認。
事例④|駅前ビル:夜間試験+道路使用許可
課題:送水口が前面道路側で、昼間は車両接近・ホース敷設が困難。
改修・試験:夜間帯で耐圧試験を計画し、事前に道路使用許可・交通誘導員を手配。現地で専用試験車を使用。
工事の段取り「届出と期限(大阪・兵庫 共通実務)」
届出が1つ遅れるだけで検査・引渡しが後ろ倒しとなる恐れも。
そのため、ゴールからの逆算が鉄則です。
大阪市・神戸市の公式案内に基づき、最低限の“3点セット”を押さえましょう。
- 工事整備対象設備等 着工届
 - 着工の10日前まで。連結送水管は対象設備。設計図書(平面・系統・計算)を添付。
 
- 着工の10日前まで。連結送水管は対象設備。設計図書(平面・系統・計算)を添付。
- 消防用設備等 設置届
 - 工事完了後4日以内。図面+試験結果報告書(耐圧・作動)を添付。
 
- 工事完了後4日以内。図面+試験結果報告書(耐圧・作動)を添付。
- 防火対象物 使用開始(変更)届
 - 使用開始の7日前。新規入居・用途変更時に必要。図面・仕様書を添付。
 
- 使用開始の7日前。新規入居・用途変更時に必要。図面・仕様書を添付。
メモ:神戸市は電子申請ページを整備。
大阪市も担当課が明確で、問い合わせ窓口が公開されています。
試験と検査「当日の“進め方”と合格ポイント」
耐圧・送水の当日不適合は最も痛いです。
準備書類と試験手順の整備で“一発合格”を狙いましょう。
- 書類先行:系統図/計算書/試験手順書を事前共有(所轄・管理者)。
- 現地準備:送水口前の作業空間確保、道路使用許可(必要時)、試験車の駐車動線。
- 耐圧性能試験:設計送水圧力の1.5倍×60分保持(ブースターポンプ無しの要領例)。漏水・圧降下の有無を確認。
- 運用確認:放水口の開閉・双口型(該当階)・結合金具の着脱、標識。
- 設置届の添付:試験結果報告書を速やかに添付・提出。
費用の目安と“コストを抑える”コツ
連結送水管の改修費は、交換範囲・配管長・地上部の復旧・道路対応で大きく変動します。
公開入札・事例ページをもとにレンジ感を掴み、賢い発注につなげましょう。
- 小規模:送水口移設+一部配管 ⋯ 約120万円(配管塗装込み・3日)という施工事例あり。
- 中規模:庁舎・住宅棟の改修 ⋯ 約377〜896万円の修繕・改修落札例(案件規模・範囲により差)。
- 大規模:広範囲の更新/高揚程対策 ⋯ 配管更新+ブースターポンプ等で数百万円〜(個別設計・事前協議が必須)。
コスト最適化のコツ
- 所轄と事前協議:必要な設計圧/径/ルートを早めに固め、やり直し工事を回避。
- 夜間一括試験の計画:道路使用許可・誘導員を一度で済ませる工程設計。
- “同時是正”の発想:送水口の高さ・標識・前面空間、格納箱、金具もまとめて更新すると二度手間がない。
※注意
金額は案件規模・階数・復旧範囲で大きく振れます。
現地調査+試験データ+図面に基づく見積りが前提です。
よくある質問(FAQ)
初めての方ほどつまずきやすいポイントをQ&A形式で整理しました。
Q1. 改修の“要不要”は誰が判断しますか?
A. 点検要領・告示に基づく有資格者の点検結果(特に耐圧性能点検)が起点です。設置基準の不適合(高さ・金具・標識)も法的根拠が明確。迷ったら所轄へ事前協議しましょう。
Q2. 耐圧は“毎年”ですか?
A. 配管は設置10年経過で初回→その後3年ごと、ホースは製造10年経過で初回→その後3年ごとが原則(除外規定あり)。
Q3. 工事の届出は何日前?提出先は?
A. 着工届=10日前(設計図書添付)/設置届=完了後4日以内/使用開始届=7日前。提出先は所轄消防署です。
Q4. 駅前や前面道路が狭い物件はどうする?
A. 夜間帯に試験車を設置し、道路使用許可・誘導員を手配して実施する方法があります。
Q5. 高層階で“圧が足りない”と言われました。
A. 背圧・摩擦損失を踏まえた再計算と、配管径見直しやブースターポンプで是正。検査は設計圧×1.5倍×60分の保持が要領例です。
見積り前に埋めたい“5つの情報”
この5項目が揃うと、現地1回で精度の高い見積りと最短工程が提案できます。
社内共有にも便利です。
- 改修理由(耐圧NG/腐食/位置不適合/用途・レイアウト変更 など)
- 対象範囲(送水口/立管区間/放水口/格納箱/ブースターポンプ有無)
- 図面(平面・系統・計算)と前回試験データ
- 現場条件(前面道路幅/夜間作業の可否/足場・復旧)
- 期限(着工−10日/完了+4日/使用開始−7日の逆算)
まとめ|“耐圧×基準×運用”をクリアに、期限は必ず逆算
連結送水管は、消防隊の生命線。設置10年→3年ごとの耐圧で不具合が出たら、位置・金具・標識・配管を基準どおりに是正し、試験・届出の3点セット(着工10日前/完了4日以内/使用開始7日前)を逆算して組み立てましょう。
設計圧の考え方や試験手順は資料で明確にし、所轄と事前協議が王道です。
なお、消防119では、所轄協議・図面・申請・試験・検査立会いまで“ワンストップ”でフォローいたします。
ぜひお気軽にご相談ください。
→[無料相談・見積もりフォームはこちら]
→お電話はこちら:0800-8080-360(24時間365日対応)
- 急ぎの対応もOK
- 点検だけでなく修理・改修もワンストップ
- 見積もり後のキャンセルも無料です
【※対応エリア】大阪府・兵庫県全域/最短即日・夜間もご相談可
【実績例】累計30,000件超/地元企業・飲食店・オフィス・クリニック等多数

