テナントの入れ替えや用途変更、老朽化に伴う更新で屋内消火栓の工事費が必要になったとき、最初にぶつかるのが「相場が分からない」「申請はいつまで?」という悩みです。
しかも同じ“消火栓の工事”でも、格納箱一式の交換とポンプ・配管を含む改修、新規設置では金額のケタが変わります。
本コラムでは、大阪府・兵庫県でビルや店舗、マンションを管理する皆さま向けに、費用相場の目安と内訳の考え方、大阪・神戸での届出期限(逆算のコツ)までを一気に整理。
公共工事の実例や、各自治体・消防庁の公開情報も引きつつ、工事計画の初期判断に役立つ実務目線でまとめました。
また、記事末に費用の簡易チェックリストも用意しています。
まずは相場感をつかみ、最短ルートで安全・法令順守の工事を進めましょう。
屋内消火栓工事の費用相場
早速結論ではありますが、屋内消火栓工事の費用は工事範囲で大きく変動します。
- 小規模更新(格納箱・ホース・弁など1口の更新):数十万円〜
- 中規模改修(複数口+一部配管・機器更新/ポンプ更新あり):数百万円規模
- 新規設置(ポンプ・水源・配管を一式新設):数百万円〜1,000万円超も(建物条件しだい)
例えば、東大阪の市立産業技術支援センターの事例では、屋内消火栓設備改修(ポンプ等を含む機械設備)で総額約721万円(工事価格655.6万円+消費税等10%)という積算が確認できます。
ポンプ1台約121万円と読み取れる内訳もあり、主要機器の更新がコストを押し上げる典型例です。
一方、格納箱一式の更新を民間業者が80万円前後とする事例や、マンション規模で非常電源・水槽から整備する新設では1,000万円超のケースもあります。
このように相場が“ピンキリ”なのは、既存設備の流用可否・配管距離・夜間作業・占有中工事など条件差が大きいためです。
まとめ
- 「何口を、どこまで更新・新設するか」で金額が跳ね上がる
- ポンプ・水源・幹線配管が絡むと数百万円〜
- 申請・検査などのソフト費も見積書に計上される
費用の“内訳”と単価イメージ
屋内消火栓工事は「機器」「配管・施工」「申請・検査」「付帯(夜間・養生・廃材処理)」に大別できます。
最初に内訳の地図を持っておくと、見積りの比較がぐっと楽になります。
機器費(代表例)
- 消火栓ポンプ:さきほどの公共の事例での内訳で約121万円/台。能力・メーカーで上下。
- 消火栓格納箱一式(箱・ホース架・ホース・ノズル・玉形弁):約80万円/口の民間事例。老朽交換の目安。
- (参考)小規模改修の個別事例:小口の「屋内消火栓改修工事」で15万円との事例公開もあるが、内容は限定的(配管・ポンプ等は含まず)。“何を含むか”の確認が重要です。
施工費(配管・撤去・試験)
公共工事の内訳を見ると、機器費+配管・撤去・諸経費で工事価格655.6万円→総額721.1万円(税等10%加算)という構成。
配管の径・延長、コア抜き、天井復旧、耐震支持などが費用差の主因です。
申請・検査・立会い費
見積りでは「届出作成・提出」「試験・検査立会い」が別計上されることが一般的。
数万円〜十万円前後の事例感(設備種別で上下)があります。
たとえば他設備の料金表では検査立会い・届出一式が9万円台の例示があります。
屋内消火栓も同様に別途計上されるケースが多いと考えてください。
付帯費(工程・時間外・共用部調整)
- 夜間・連休工事(テナント稼働を止められない場合)
- 資材搬入経路の養生・仮設、廃材処理
- 警備・テナント周知・誤報対策(自火報・警備連動の一時解除)
これらは案件条件で大きく変わる可変費です。
見積り比較では、“どこまで含んでいるか”を必ず確認しましょう。
工事の範囲ごとに見る「相場の目安」
ここでは、“どこまで工事するか”別に金額の目安ゾーンを整理します(実額は現地条件により増減します)。
A. 小規模更新(1口の更新・軽微な補修)
- 例:格納箱・ホース・ノズル・弁の更新、表示灯不良の是正など
- 目安:数十万円〜。内容が限定的なら十数万円台の公開例もありますが、一式更新では80万円前後を掲げる事例も。何を含む見積りか要確認。
B. 中規模改修(複数口+一部配管・ポンプ更新)
- 例:2〜4口の更新+ポンプ1台更新+配管の部分更新
- 目安:数百万円規模。公共内訳ではポンプ約121万円、配管・撤去・諸経費を含む工事価格655.6万円/総額721.1万円という実績が参考になります。
C. 新規設置(既設なし・水源や幹線から整備)
- 例:ポンプ・水槽(または受水槽/圧力設備)・幹線配管・各階の消火栓箱を新設
- 目安:数百万円〜1,000万円超。マンション等で非常電源や高架水槽から整備する計画は1,000万円以上の可能性に触れる解説もあります。構造・階数・配管経路で上下幅が非常に大きい領域です。
ポイント:相場の「幅」は、①ポンプや非常電源の要否、②配管ルート(コア抜き・天井復旧)、③夜間や営業並行の工事制約で決まります。同条件で3社比較が鉄則です。
「そもそも必要?」屋内消火栓の基準と代替案
屋内消火栓の設置義務は用途・面積・階層(地階・無窓階・4階以上)などで決まります。
設置基準は消防法施行令11条、細目は施行規則12条と消防庁告示で定められ、消火栓箱の赤色灯・表示、始動表示灯などの仕様も規定があります。
概略の目安として、劇場等では延べ500㎡以上から義務、その他用途は700㎡または1,000㎡超で義務化されるケースが多いという整理も実務解説で示されています(※最終判断は所轄消防で)。
費用最適化の「代替・簡易化」選択肢
- パッケージ型消火設備
屋内消火栓の代替として認められる装置。ノズル・ホース・薬剤容器・加圧容器を一体箱に収めるタイプで、設置・維持の技術基準が消防庁告示で整備されています。ケースによってコストや納期を圧縮でき、所轄協議で適用可否を確認します。 - 水道連結型スプリンクラー(小規模医療・福祉)
延べ1,000㎡未満など一定条件下で、水道連結型が認められる整理が示されています(用途・構造要件あり)。屋内消火栓/スプリンクラーの選択でコストや維持の最適化が可能です。
要するに、「何を入れるか」も費用に直結します。
代替設備や特例を早期に検討すると、無駄のない設計にできます(必ず所轄消防と事前協議)。
大阪・神戸の届出スケジュールと図面・試験書類
工事費と同じくらい重要なのが届出の締切です。
工程の逆算に使える必須ポイントだけを抜粋します。
大阪市(所轄消防署)
- 工事着手の10日前まで:工事整備対象設備等着工届(設計図書:平面図・系統図・計算書等を添付)
- 工事完了後4日以内:消防用設備等設置届(図書・消防用設備等試験結果報告書を添付)
- 点検結果の報告:特定防火対象物年1回/非特定3年に1回(点検票添付)
— いずれも所轄消防署へ提出。City of Osaka
神戸市(所轄消防署)
- 新築やテナントの使用開始の7日前まで:防火対象物使用開始届出(検査あり/付近地図・平面図ほか)。用途変更での営業開始時も対象です。Kobe City
逆算のコツ:
設計→着工届(−10日)→施工→試験→設置届(完了+4日)→使用開始(−7日)にあわせた届出。
申請・図面作成も工事費の一部です。「見積に含む/別」を確認しましょう。
費用を抑えつつ、確実に適合させるコツ
1)“現地調査の精度”がそのまま見積精度
配管ルート、天井・壁の復旧範囲、搬入動線、既存ポンプや電源の流用可否を現地で確定
想定外の追加(夜間・斫り・復旧・足場)が最大のコストリスクです。
2)複数案を同時比較(代替設備・仕様ダウンサイジング)
屋内消火栓/パッケージ型/(用途により)水道連結型SPなど複数案を同条件で積算。
所轄協議の通りやすさも含めて総コストを評価します。
3)見積の“抜け”を洗うチェックリスト
- 申請・図面・試験・立会い費(含む?別?)
- 夜間・休日・共用部養生、廃材処理、コア抜き復旧(条件反映?)
- 検査本番の誤報対策(警備・自火報連動)、近隣周知
- 引渡し後の検査是正・取扱説明・竣工図の扱い
よくある質問(FAQ)
Q1:うちの建物は屋内消火栓が必要?
A: 用途・延べ面積・階層(地階/無窓階/4階以上)で判定します。概略では「劇場等は500㎡以上」「その他用途は700㎡または1,000㎡超」で義務になるケースが多いとされますが、最終判断は所轄消防です。
Q2:工事費のブレが大きいのはなぜ?
A: ポンプ・水源・幹線配管の要否、配管距離・復旧、夜間工事の有無が金額を左右します。公共事例では総額721万円、民間の格納箱更新80万円など幅広い実例が公開されています。
Q3:新規だとどれくらい?
A: 数百万円〜1,000万円超のレンジ。マンション規模で非常電源や高架水槽から整備する場合に1,000万円超となりうる解説があります。早い段階で現地調査→仕様確定を行い、ムダなやり直しを回避しましょう。
Q4:申請はいつ出す?
A: 大阪市は着工10日前までに着工届、完了後4日以内に設置届。神戸市は使用開始の7日前に届出が必要です。工程表はこれを起点に逆算します。
Q5:代替設備で安くできますか?
A: 条件によりパッケージ型消火設備(屋内消火栓の代替)や、水道連結型スプリンクラー(小規模の医療・福祉等)が選択肢。所轄協議前提で可否確認を。
【保存版】見積り依頼前の“費用整理シート”
このシートを埋めていただければ、現地調査1回で精度の高い見積りをお出しできます。
- 工事目的:新設/更新/増設/図面差し替えのみ
- 対象口数:__口(各階の位置メモ)
- 既存設備:ポンプ(有/無)・非常電源(有/無)・水槽(有/無)
- 配管条件:新規幹線必要(はい/いいえ)・コア抜き可能位置
- 工事条件:夜間/休日作業の要否、営業との両立可否
- 申請締切:大阪(着工−10日/完了+4日)/神戸(使用開始−7日)
- 代替案:パッケージ型/水道連結型SP(適用余地あり?)
まとめ|相場は「範囲の決め方」で決まる。
- 小規模更新は数十万円〜、機器+配管を含む改修は数百万円規模、新規一式は数百万円〜1,000万円超と幅広い。公共実例(総額約721万円)・民間例(80万円/口)からも「範囲次第」の現実が読み取れます。
- 設置義務や仕様は法令(令11条・規則12条・告示)で明確。代替設備の選択肢もあり、所轄協議がコスト最適化の鍵です。
- 申請締切の逆算(大阪:着工10日前/完了4日以内、神戸:使用開始7日前)を外さない工程計画で、やり直しや夜間追加費を回避しましょう。
次の一手として、費用のブレを最小化する最短ルートは無料の現地調査です。
もし、大阪・兵庫で屋内消火栓工事が必要でしたら消防119へ!
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【実績例】累計30,000件超/地元企業・飲食店・オフィス・クリニック等多数
この記事でご不明点やお困りごとがあれば、「消防119」までお気軽にお問い合わせください。