「自宅(または分譲マンションの一室)をリフォームするだけで、消防への届出は要るの?」
この質問、実はケースバイケースです。
住戸内の一般的な内装・設備更新(キッチン入替えや間仕切り変更など)だけなら届出不要で済む場面が多い一方、次のような場合は消防届出が必要になる可能性があります。
たとえば、①用途を“住宅以外”に変える(民泊・簡易宿所・事業用途へ)、②共用部や消防用設備(自動火災報知設備・誘導灯など)に工事が及ぶ、③ボイラー・大容量の温風暖房機など“火を使用する設備”を新設・変更、④ガレージ等で危険物・指定可燃物の取り扱いが一定量を超えるといったケースです。
大阪市・神戸市(兵庫県)では、使用開始7日前・着工10日前・工事完了後4日以内・設置(変更)5日前など、手続ごとに“日数ルール”が明確に決まっています。
まずはどの手続に当たるか、そしていつまでに出すかを押さえることが成功の近道です。
本コラムでは、大阪府・兵庫県の実務に合わせて、住宅改修で届出が必要になる典型パターンの見分け方と、各手続の提出期限・添付図面・進め方をやさしく体系化しました。
「うちは届出が要るのか」を、今日ここでクリアにしましょう。
住宅改修で届出が必要になる/ならない主な条件
最初の一歩は「うちの工事がどの手続に当たるか」の切り分けです。
下の早見で届出の“当たり所”を確認してください。
迷う場合は所轄へ事前相談が確実です(当社で同席も可能)。
- 届出が必要になる可能性が高い例
- 住戸や戸建を民泊・簡易宿所(宿泊)にする、あるいは店舗や事務所へ転用する(=用途変更)。→ 使用開始(変更)届:7日前。
- 改修で消防用設備(自火報・誘導灯・排煙・連結送水管 等)に手を入れる/新設・増設する。→ 着工届:着工10日前/設置届:完了後4日以内。
- ボイラー・大容量の温風暖房機・入力合計の大きい厨房設備など、条例で定める「火を使用する設備」を設置・変更する。→ 設置(変更)届:5日前。
- ガレージ・倉庫で指定可燃物(例:大量のプラ/木製パレット)や少量危険物の取り扱いが一定量以上。→ 7日前届等が必要な場合あり(極めて例外的に住宅でも該当)。
- 住戸や戸建を民泊・簡易宿所(宿泊)にする、あるいは店舗や事務所へ転用する(=用途変更)。→ 使用開始(変更)届:7日前。
- 届出不要で済むことが多い例
- 住戸内の内装更新(床・壁・天井の張替え、住宅用火災報知器の交換等)で、共用部や消防用設備に影響しない。
- 既存と同等出力の住宅用給湯器等の入替えで、条例上の「火を使用する設備」に該当しない出力帯。
- 建築確認が不要(200㎡以下)の軽微な用途変更でも、宿泊用途を含まない住宅→住宅など防火対象物の用途が実質変わらない場合。
(※最終判断は所轄消防署の案内・指示に従ってください)
- 住戸内の内装更新(床・壁・天井の張替え、住宅用火災報知器の交換等)で、共用部や消防用設備に影響しない。
【用途変更系】民泊・簡易宿所・店舗化などは「使用開始7日前」
住宅を宿泊や営業用途に転用する場合は、防火対象物使用開始(変更)届が必須。
使用開始の7日前までに所轄へ届出し、原則消防の確認・検査を受けます。
- 大阪市(民泊ガイド):用途を変更する時は「使用開始(変更)届」を7日前までに提出と明記。Osaka City
- 神戸市(手続ページ):7日前まで・付近図/内装仕様書/平面図の添付、記入見本と作成例が公開。city.kobe.lg.jp
- ポイント:収容人員の算定や避難経路・内装制限の適合確認が必要になることがあります。開業日から逆算して余裕を取りましょう。
【消防用設備工事】は「着工10日前」→「完了後4日以内」が基本
住戸の改修でも、自動火災報知設備(共用回線)・誘導灯・排煙設備など建物の消防設備に触れる場合は、着工前後の届出が発生します。
- 着工前(大阪市):工事整備対象設備等着工届を着工の10日前までに。平面図・系統図・計算書など設計図書が必須。Osaka City
- 着工前(神戸市):同様に10日前の運用。対象設備一覧と届出要領(PDF)を公開。city.kobe.lg.jp
- 完了後(大阪市):消防用設備等設置届を工事完了後4日以内に提出。図面と試験結果報告書を添付。Osaka City
- 完了後(神戸市):設置届・試験結果報告書の様式と電子申請ページを整備。city.kobe.lg.jp
実務TIP:分譲マンションの住戸内リフォームでも、共用系の感知器や受信機回路に影響する場合は管理組合+所轄との調整が必要です。図面先出しが差し戻し防止の近道。
【ボイラー・大型暖房・大容量厨房】は「設置(変更)5日前」
条例で危険度が高いと定義された「火を使用する設備」(ボイラー・温風暖房機・一定容量以上の厨房設備 等)は、設置/変更の5日前までに届出が必要です(大阪市の例)。
- 大阪市(条例・要領):炉・温風暖房機・厨房設備・ボイラー・乾燥設備・サウナ設備・給湯湯沸設備・ヒートポンプ冷暖房機(一定出力以上)・火花を生ずる設備・放電加工機などが対象。5日前に届出。Osaka City
- 根拠:大阪市火災予防条例施行規則 第6条に「設置又は変更の5日前まで」と規定。
- 注意:住宅用の一般的な給湯器・コンロは対象外であることが多いですが、出力・入力合計で該当する場合があります。機器の仕様(kW)で必ず要否判定を。
(補足)ガレージに大量保管?指定可燃物・少量危険物の線引き
住宅ではレアですが、DIY資材やパレット、燃料の大量保管があると、少量危険物・指定可燃物の届出が必要な場合があります。
- パレットの扱い(大阪市):プラスチック製3,000kg以上/木製10㎥の5倍以上で届出が必要。保管方法や面積制限の規制もあり。
- 少量危険物・指定可燃物:取り扱い開始の7日前届が基本(事業所向けの枠組み。住宅は該当しにくい)。詳細は所轄へ。
期限まとめ(早見表):7日前/10日前/4日以内/5日前
届出は種類ごとに“締切日”が違うのが最大の落とし穴。
ここを一枚で把握し、工程を逆算しましょう。
手続 | いつ? | 期限 | 根拠・公式例 |
---|---|---|---|
防火対象物使用開始(変更)届 | 住宅→民泊・簡易宿所/店舗化 等 | 使用開始の7日前まで | 大阪市・神戸市が明記。 |
工事整備対象設備等着工届 | 自火報・誘導灯・排煙・連結送水管 等の工事前 | 着工の10日前まで | 大阪市/神戸市 要領に明記。 |
消防用設備等設置届 | 上記設備の工事完了後 | 完了後4日以内 | 大阪市が明記。神戸市も様式整備。 |
火を使用する設備の設置(変更)届 | ボイラー・大型厨房・温風暖房機 等 | 設置(変更)の5日前まで | 大阪市の条例・要領。 |
必要書類と図面の作り方(テンプレ)
差し戻し(補正)の多くは図面の情報不足。
大阪・神戸の公開要領をベースに、最低限そろえる定番セットをまとめました。
- 使用開始(変更)届:付近図/平面図(用途・面積・出入口)/内装仕様書(神戸市は記入見本・作成例あり)。
- 着工届:平面図・系統図・計算書など設計図書(大阪市・神戸市とも10日前要件)。
- 設置届:平面図・系統図+試験結果報告書(完了後4日以内)。
- オンライン申請:神戸市は多くの手続が電子申請対応、大阪市も手続によってオンライン化(少量危険物等)。電子添付はPDF・容量制限に注意。
よくある住宅改修シナリオと“届出の当たり所”
実際のご相談で多い3パターンを、要否と期限でかんたん整理しました。
最終判断は所轄の指示を優先してください。
戸建てを民泊(簡易宿所)にする
- 必要:使用開始(変更)届=7日前。必要に応じ自火報・誘導灯等の整備→着工10日前/設置4日以内。
分譲マンションの一室を書斎+来客対応スペースへ
- 多くは不要:純住宅用途のまま・共用の消防設備に影響なしなら届出不要のことが多い。
- 注意:住戸内感知器の移設や共用回線への接続変更が絡むと着工/設置届が必要になる場合あり(管理組合・所轄と事前調整)。
古民家をカフェに改修(客席+厨房)
- 必要:使用開始(変更)届=7日前。厨房設備の出力が大きい場合は火を使用する設備=5日前。自火報等が必要になれば着工10日前/設置4日以内も。
進め方(最短ルート):事前相談 → 図面確定 → 期限どおり提出
「どれを、いつまでに」が決まれば、住宅改修の工程は驚くほどスムーズに進みます。
下の5ステップを“定型化”しましょう。
- 所轄確認/要否判定:用途・規模・機器仕様(kW)・消防設備の有無を整理し、どの手続が必要かを確定。
- 図面先出し:平面/系統/計算書(必要な場合)を先に固める。
- 期限を逆算:着工10日前/使用開始7日前/完了後4日以内/5日前をカレンダーに落とし込み。
- 電子申請の活用:可能な手続は電子で。補正・控え管理がラクに。
- 検査・記録の整備:試験結果報告書・写真・提出控えを共有フォルダで保全。
ミニFAQ(大阪・兵庫エリア)
住宅改修で実際にいただく“ピンポイント”質問に、端的にお答えします。
詳細は所轄で最終確認ください。
Q1. 建築確認が不要(200㎡以下)なら、消防届出も不要?
A. いいえ。建築と消防は別です。宿泊・店舗化など用途変更や消防設備工事があれば、本文の届出が必要です(期限に注意)。
Q2. 届出は紙ですか?オンラインできますか?
A. 神戸市は多くの手続で電子申請に対応。大阪市も手続によりオンライン化されています(例:少量危険物等)。
Q3. 厨房を“業務用”へ入替えます。届出は?
A. 入力合計次第で火を使用する設備(5日前)が必要。さらに自火報等の要否があれば着工10日前/設置4日以内も発生します。
Q4. 届出の添付でよく不足するものは?
A. 縮尺・方位・用途表記のある平面図、系統図・計算書、試験結果報告書(完了後)が不足しがち。本文のテンプレを参考に。
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